概要
2020-01-24 Fri発売の新しいカードセット「テーロス還魂記」の全カードリストが2020-01-11 Satに公開された。
自分がMTG休止中に発売されたテーロスと同じ次元が舞台のカードセットであり,エンチャントにフォーカスが当たったカードセットだ。
2019年はエターナル環境に多大な影響を与えたカードセットが続々発売された一方,白使いとしてはたいした新戦力を獲得できず,冬の時代の1年だったように感じた。
しかし,今回のテーロス還魂記には久々となる白の瞬殺2枚コンボを成立させるカードが収録され,2020年に期待を持てる始まりとなった。
特に白のエターナル環境で注目している以下のカードをレビューする。
- 太陽の恵みの執政官/Archon of Sun’s Grace
- メレティス誕生/The Birth of Meletis
- 障害の幻霊/Eidolon of Obstruction
- エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death
- 太陽の宿敵、エルズペス/Elspeth, Sun’s Nemesis
- 太陽冠のヘリオッド/Heliod, Sun-Crowned
- ヘリオッドの介入/Heliod’s Intervention
- 牧歌的な教示者/Idyllic Tutor
- 卓絶した特使/Transcendent Envoy
評価
太陽の恵みの執政官/Archon of Sun’s Grace
Archon of Sun's Grace {2}{W}{W} Creature — Archon Flying, lifelink Pegasus creatures you control have lifelink. Constellation — Whenever an enchantment enters the battlefield under your control, create a 2/2 white Pegasus creature token with flying. 3/4
単純に4マナ3/4飛行絆魂は強い。《折れた刃、ギセラ/Gisela, the Broken Blade》のタフネスが4ならばと思うことがあったが,とうとう登場した。
タフネス4でデルバー・青赤の《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》と主要火力である《稲妻/Lightning Bolt》に耐えられ,絆魂でライフで優位に立てる。
星座能力もエンチャントのプレイで2/2飛行トークンを生成と強力だ。もっとも,エターナル環境ではエンチャントはなかなか採用されないため,こちらは少々工夫が必要となる。
《静寂の守り手、リンヴァーラ/Linvala, Keeper of Silence》や《修復の天使/Restoration Angel》などと共に,今後の白の中堅クリーチャーの選択肢の1枚となる優良クリーチャーだ。
メレティス誕生/The Birth of Meletis
The Birth of Meletis {1}{W} Enchantment — Saga (As this Saga enters and after your draw step, add a lore counter. Sacrifice after III.) I — Search your library for a basic Plains card, reveal it, put it into your hand, then shuffle your library. II — Create a 0/4 colorless Wall artifact creature token with defender. III — You gain 2 life.
今回のカードの中で2番目に注目しているカードだ。プレイで基本土地サーチ,0/4壁生成,2点のライフゲインと地味な能力ではある。キャントリップ持ちの《前兆の壁/Wall of Omens》と性質がよく似たカードだ。
プレインズウォーカーのキャストのためのマナ確保と,それまでの時間稼ぎとして役に立ちそうだ。
こちらは英雄碑であり能動的にキャストしていけること,自分から墓地に落ちてくれるところがポイントとなる。モダンホライゾンで《ヘリオッドの高潔の聖堂/Hall of Heliod’s Generosity》が登場したが,肝心の自分から能動的に墓地に落ちるエンチャントがあまりないため,そこまで使われていない。
デッキ内エンチャントのかさ増しとして基本の1枚になりえるカードに感じた。
この後に評価する太陽冠のヘリオッドとも相性のいいカードだ。3番目の2点ゲインでヘリオッドの能力が誘発して,最低限生成した壁を強化できるのもポイントが高い。
障害の幻霊/Eidolon of Obstruction
Eidolon of Obstruction {1}{W} Enchantment Creature — Spirit First strike Loyalty abilities of planeswalkers your opponents control cost {1} more to activate. Death turned admirable conviction into pointless intransigence.
2/1先制攻撃でプレインズウォーカーの忠誠度能力に追加の1マナを要求するエンチャント・クリーチャーだ。
待望のプレインズウォーカー対策クリーチャーではあるが,たった1マナの課税で少々能力が弱く感じる。これなら能力を禁止できる《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》のほうが強く感じる。
いっそのことお互いの忠誠度能力の禁止でよかったのでは感じる。今後の白のPW対策カードに期待したい。
エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Death
Elspeth Conquers Death {3}{W}{W} Enchantment — Saga I - Exile target permanent an opponent controls with converted mana cost 3 or greater. II - Noncreature spells your opponents cast cost {2} more to cast until your next turn. III - Return target creature or planeswalker card from your graveyard to the battlefield. Put a +1/+1 counter or a loyalty counter on it.
アドバンテージのとれる英雄碑だ。1番目の能力で戦場の脅威を除去し,3番目の能力でクリーチャーかPWをリアニメイトする。
2番目の2マナの課税能力はこのカードをキャストするゲーム中盤〜終盤ではあまり意味がないように感じる。
《悟りの教示者/Enlightened Tutor》でのサーチ対象にはなりえるが,5マナと少々重く,扱いがやや難しく感じた。
太陽の宿敵、エルズペス/Elspeth, Sun’s Nemesis
Elspeth, Sun's Nemesis {2}{W}{W} Legendary Planeswalker — Elspeth −1: Up to two target creatures you control each get +2/+1 until end of turn. −2: Create two 1/1 white Human Soldier creature tokens. −3: You gain 5 life. Escape—{4}{W}{W}, Exile four other cards from your graveyard. (You may cast this card from your graveyard for its escape cost.) Loyalty: 5
テーロス還魂記の主人公的存在の新しいエルズペスだ。おそらく初の脱出持ちのPWだ。脱出前提ということで忠誠度能力は全てマイナスとなっている。
クリーチャー強化,トークン生成,ライフゲインとどれも地味な能力となっている。トークン生成では,《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》や《慈悲深きセラ/Serra the Benevolent》が基準となるため,少々弱く感じる。
脱出で再利用できるものの,肝心のベース能力が1/1トークン2体の生成がメインであり,エターナル環境では少々厳しく感じる。
太陽冠のヘリオッド/Heliod, Sun-Crowned
Heliod, Sun-Crowned {2}{W} Legendary Enchantment Creature — God Indestructible As long as your devotion to white is less than five, Heliod isn’t a creature. Whenever you gain life, put a +1/+1 counter on target creature or enchantment you control. {1}{W}: Another target creature gains lifelink until end of turn. 5/5
今回のカードセットで1番の注目カードだ。
白への信心が5以上でクリーチャーとなる5/5破壊不能のエンチャント・クリーチャーだ。ライフゲイン時に+1/+1カウンターをクリーチャーに設置でき,1Wで絆魂を付与できる。クリーチャー化できなくても,自身の能力だけである程度完結している。
単体でもソウルシスターズと相性のいいカードではあるが,これだけだとそこまで注目していなかった。《歩行バリスタ/Walking Ballista》との2枚瞬殺コンボ (バリヘルコンボ) を形成でき,カードの評価が一気に上がるカードだ。
《歩行バリスタ/Walking Ballista》をX=2でキャストし,絆魂を付与してから,能力でダメージを与えると,太陽冠のヘリオッドの効果でライフゲイン時に+1/+1カウンターを設置でき,無限ダメージ無限ライフを実現する。
実用的な瞬殺コンボの条件としては以下の3の条件が重要になる。
- コンボ成立マナ
- コンボ成立枚数
- 単体のカードパワー
バリヘルコンボは一度に決めようとなると9マナかかる。が,分割して支払ったり,何らかの方法で《歩行バリスタ/Walking Ballista》のサイズを上げることができれば,コンボ成立時には絆魂を付与する1Wマナで済む。
2枚コンボであり,どちらのカードも《悟りの教示者/Enlightened Tutor》でサーチでき,《歩行バリスタ/Walking Ballista》に至っては《護衛募集員/Recruiter of the Guard》,《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》でもサーチ可能である。
単体のカードパワーとしては,《歩行バリスタ/Walking Ballista》は単体でも十分使われるカードだ。太陽冠のヘリオッド自体はそこまでだが,破壊不能の能力で先置きの安心感があり,能力がある程度自己で完結しており,ビート系デッキに採用できるカードだ。
以上のように,バリヘルコンボはこれらの3条件を満たしており,実用的なコンボだ。テーロス還魂記の発売直後にパイオニアがメインのマジック・フェストが開催されることもあり,《歩行バリスタ/Walking Ballista》と太陽冠のヘリオッドの高騰が予想される。
パイオニアでは正直今後どちらかが禁止される可能性が高いので,発売後値段が落ち着いた段階で購入を検討したい。
ヘリオッドの介入/Heliod’s Intervention
Heliod's Intervention {X}{W}{W} Instant Choose one — • Destroy X target artifacts and/or enchantments. • Target player gains twice X life.
XWWの《解呪/Disenchant》にライフゲインのモードを選べるようになったものだ。X=1で使う場合,《解呪/Disenchant》の下位互換になってしまうが,X=2以上でキャストできれば,《塵への帰結/Return to Dust》相当以上であり,悪くない。
エンチャント・アーティファクトの大量破壊では,《静寂/Serenity》のほうが軽い。自分の置物を巻き込みたくないストンピィ系,コントロールデッキのサイドボードとして可能性がある。
牧歌的な教示者/Idyllic Tutor
Idyllic Tutor / 牧歌的な教示者 (2)(白) ソーサリーあなたのライブラリーからエンチャント・カードを1枚探し、それを公開し、あなたの手札に加える。その後あなたのライブラリーを切り直す。
モーニングタイドからの待望の再録となる。何の需要だったのか不明だが,地味に値段が1枚1500円程度と高騰していたため,再録で供給が増えて値下がりしてよかった。
ただ序盤にサーチしたいならば,《悟りの教示者/Enlightened Tutor》のほうが軽い。《悟りの教示者/Enlightened Tutor》の追加として,《オパール色の輝き/Opalescence》系デッキで採用されるだろうか。
今後強力なエンチャントが登場すると価値が高まる可能性のあるカードではある。
卓絶した特使/Transcendent Envoy
Transcendent Envoy {1}{W} Enchantment Creature — Griffin Flying Aura spells you cast cost {1} less to cast.
1W 1/2飛行でオーラのキャストを1減少させる。オーラ絡みのコンボの可能性を感じるカードではある。
ただし,無色のオーラは《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription》しかなく,ストーム的な使い方が難しい。
そもそも,オーラはアドバンテージやテンポを失う可能性が高く,扱いが難しいメカニズムだ。
結論
久しぶりの白の瞬殺2枚コンボを成立させる「太陽冠のヘリオッド/Heliod, Sun-Crowned」が登場し,その他にも「太陽の恵みの執政官/Archon of Sun’s Grace」や「メレティス誕生/The Birth of Meletis」など白が強化されるカードセットだった。
以下のカードは購入予定だ。
- 3枚: 太陽冠のヘリオッド/Heliod, Sun-Crowned
- 4枚: メレティス誕生/The Birth of Meletis
複数の勝利パターンを用意して,対策しにくくすることが最近のコンボデッキの流行であり,勝利へのポイントとなっている。
その点,バリヘルコンボは単体でそれなりのカードパワー同士の2枚コンボであり,通常のビートデッキに採用しやすいので,可能性を感じる。
正直,《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》が環境を支配して,盤面を構築するのが面倒くさくなってきている。バリヘルコンボのように,ペインターやヘルムピースのような瞬殺2枚コンボデッキを使ったほうがいいような気がしてきている。
新セットの発売と発売後のメタゲーム環境の変動に注目したい。
コメント
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