カード評価: イコリア:巨獣の棲処 | キーワード・カウンターに相棒,新たな白の無限コンボの成立に期待の膨らむカードセット

概要

2020-04-17 Fri発売の新しいカードセット「イコリア:巨獣の棲処」の全カードリストが2020-04-10 Satに公開されたのでレビューする。

イコリア:巨獣の棲処のメカニズムとして,キーワード・カウンターと相棒が新しく登場した。どちらもゲームに大きな影響を与えるメカニズムだ。個人的にカードを眺めてとてもわくわくしたカードセットだった。

特に白のエターナル構築視点で興味を持った以下のカードをレビューする。

  1. 《ドラニスの判事/Drannith Magistrate》
  2. 《ラバブリンクの冒険者/Lavabrink Venturer》
  3. 《希望の光/Light of Hope》
  4. 《光明の繁殖蛾/Luminous Broodmoth》
  5. 《スナップダックスの神話/Mythos of Snapdax》
  6. 《雄々しい救出者/Valiant Rescuer》
  7. 《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》
  8. 《黎明起こし、ザーダ/Zirda, the Dawnwaker》

評価

1. 《ドラニスの判事/Drannith Magistrate》

Drannith Magistrate {1}{W}
Creature — Human Wizard
Your opponents can't cast spells from anywhere other than their hands.
1/3

白の妨害能力持ちクリーチャーだ。手札以外からのキャストを封じ込める。範囲がかなり限定されており,かなりピンポイントな妨害能力だ。

墓地以外からのキャストでは,《神秘の炉/Mystic Forge》や《ボーラスの城塞/Bolas’s Citadel》のライブラリートップからのキャストが思いつく。

飛行で2/2くらいの基本性能ならメインからの採用も考えられるが,能力が少々限定的すぎて現時点では使いどころは難しく感じた。今後に期待したい。

2. 《ラバブリンクの冒険者/Lavabrink Venturer》

Lavabrink Venturer {2}{W}
Creature — Human Soldier
As Lavabrink Venturer enters the battlefield, choose odd or even. (Zero is even.)
Lavabrink Venturer has protection from each converted mana cost of the chosen value.
3/3

3マナ3/3で奇数か偶数のマナコストのプロテクションを持つクリーチャーだ。

3マナは,《ミラディンの十字軍/Mirran Crusader》,《静月の騎兵/Stillmoon Cavalier》,《秘教の十字軍/Mystic Crusader》などのプロテクション持ちクリーチャーがおり,そこに新たな仲間が加わった。

白のシングルシンボルでエルドラージ・ホワイトでも採用しやすく,3/3という基本サイズもありがたい。2/2先制攻撃よりかは3/3のほうが,打点が高く嬉しい場面が多い。

肝心のプロテクション能力も柔軟性が高く非常に使い勝手がいい。基本は《剣を鍬に/Swords to Plowshares》,《稲妻/Lightning Bolt》,《致命的な一押し/Fatal Push》を回避するために奇数を指定するだろう。この他に,《罰する火/Punishing Fire》などに偶数を指定することがある。地味に,プロテクションの範囲にパーマネントや呪文の指定がないのが強く,偶数を指定すると0マナのクリーチャートークンや土地も回避できる。土地単の《罰する火/Punishing Fire》と《イス卿の迷路/Maze of Ith》を両方回避できるのは心強い。

自分の装備品との相性もやや悪いが,白として優良なクリーチャーだと感じた。3マナ域の基本クリーチャーになる可能性がある。

3. 《希望の光/Light of Hope》

Light of Hope {W}
Instant
Choose one —
• You gain 4 life.
• Destroy target enchantment.
• Put a +1/+1 counter on target creature.

4点ゲイン,エンチャント破壊,+1/+1カウンターの配置を選べる1マナインスタントだ。

能力としては,《希望の魔除け/Hope Charm》や《篤信の魔除け/Piety Charm》に近い。これらの魔除けは破壊できるのがオーラと限定的だったが,《希望の光/Light of Hope》はエンチャントとなり対象が広がった。+1/+1カウンターの配置もコンバットトリックとして使いやすい。

全体として使い勝手の良いカードだと思った。2番目の効果が《解呪/Disenchant》だとさすがに強すぎだろうか。

構築ではエンチャント破壊と+1/+1カウンターに可能性を感じる。例えば,《太陽冠のヘリオッド/Heliod, Sun-Crowned》+《歩行バリスタ/Walking Ballista》のコンボで役に立つかもしれないと思った。

4. 《光明の繁殖蛾/Luminous Broodmoth》

Luminous Broodmoth {2}{W}{W}
Creature — Insect
Flying
Whenever a creature you control without flying dies, return it to the battlefield under its owner's control with a flying counter on it.
3/4

白のゴジラカード枠のモスラだ。4マナ3/4飛行で飛行を持たない自陣クリーチャーの死亡時に,飛行を付与して復活させる効果を持つ。

4マナとしては3/4飛行は標準的になってきている。ちょうど,《太陽の恵みの執政官/Archon of Sun’s Grace》と役割が似ている。単体性能だけだとあちらのほうが絆魂を持つ分強い。

このカードの真価は下のリアニメイト効果だろう。発表されてすぐに《厳粛/Solemnity》とのコンボが指摘されている。

白の無限頑強のパーツとしては4枚コンボになってしまうため,少々イマイチだ。そもそも白はサクリ台に乏しい色のため難しい。何か飛行カウンターをうまく取り除くカードと組み合わせて,ビートよりの構成にするのがいいだろうか。

今後の研究に期待したいカードだ。

5. 《スナップダックスの神話/Mythos of Snapdax》

Mythos of Snapdax {2}{W}{W}
Sorcery
Each player chooses an artifact, a creature, an enchantment, and a planeswalker from among the nonland permanents they control, then sacrifices the rest. If {B}{R} was spent to cast this spell, you choose the permanents for each player instead.

懐かしき《大変動/Cataclysm》の亜種だ。最近だと,《悲劇的な傲慢/Tragic Arrogance》や《激変の機械巨人/Cataclysmic Gearhulk》のほうが近いか。

マナ拘束が厳しいが,白白黒赤でキャストできれば《悲劇的な傲慢/Tragic Arrogance》になる。《大変動/Cataclysm》と異なり,土地を吹き飛ばせず,プレインズウォーカーも残ってしまうのが惜しい。が,残すカードをこちらが選べるのは悪くない。

もっとも,エターナル構築ではやはり土地を吹き飛ばせる《大変動/Cataclysm》に軍配が上がるだろう。

6. 《雄々しい救出者/Valiant Rescuer》

Valiant Rescuer {1}{W}
Creature — Human Soldier
Whenever you cycle another card for the first time each turn, create a 1/1 white Human Soldier creature token.
Cycling {2} ({2}, Discard this card: Draw a card.)
3/1

2マナ3/1のサイクリング2持ちクリーチャーで,1ターンに一度,サイクリング時に1/1兵士トークンを生成する。

《僧院の導師/Monastery Mentor》や《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》を彷彿とさせる能力だ。しかし,1ターンに一度という余計な縛りがあるのが惜しい。

サイクリングはコントロールよりの効果であり,構築ではサイクリングで能力が誘発するカード (《霊体の地滑り/Astral Slide》や《稲妻の裂け目/Lightning Rift》など) と組み合わせて初めて生きてくる。

イコリア:巨獣の棲処ではサイクリングもメカニズムとしてフィーチャーされている。

はるか昔のウルザブロックで誕生した《波動機/Fluctuator》リアニメイトの復活を期待彷彿とさせるが,はたしてどうなるのか。

今回取り上げなかった《繁栄の狐/Flourishing Fox》 (サイクリング時に+1/+1カウンターの乗る1マナクリーチャー) との組み合わせも感じられたが,肝となるこのクリーチャーに制限があることが惜しい。

現状エターナル構築ではいまいちだと思うが,今後の可能性に期待したい。

7. 《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》

Lurrus of the Dream-Den {1}{W/B}{W/B}
Legendary Creature — Cat Nightmare
Companion — Each permanent card in your starting deck has converted mana cost 2 or less. (If this card is your chosen companion, you may cast it once from outside the game.)
Lifelink
During each of your turns, you may cast one permanent spell with converted mana cost 2 or less from your graveyard.
3/2

イコリア:巨獣の棲処で新しく登場した相棒を持つクリーチャーだ。基本性能は3マナ3/2絆魂で,各ターンに一度墓地から2マナ以下のパーマネント呪文をキャストできる。

相棒を使う場合,デッキ内のパーマネントが2マナ以下となる。

まず,相棒という能力が強い。条件を満たせば,統率者のようにいつでも一度だけキャストできる。つまり,初期手札が常に1枚増えている状態となる。コンボとしては,必要なカードが1枚減るので非常に強力だ。

そして,このカードは相棒なしでも十分に強い。相棒は使えないが,ペプルスやアイアンワークス,サルベイジャーコンボあたりと相性が良いように感じた。

1ターンに一度しか使えないので,即死コンボは難しい。しかし,例えば《ウルザのガラクタ/Urza’s Bauble》や《歩行バリスタ/Walking Ballista》あたりを再利用して継続的にアドバンテージを取ることができる。

あるいは,何か明滅させたり,《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》を生け贄に捧げてリアニメイトするなどすれば,1ターンに一度の条件を突破できるのだろうか。もし可能ならば,新たな無限コンボの可能性を感じる。

相棒よりかは元の再利用能力が強力に感じた。

8. 《黎明起こし、ザーダ/Zirda, the Dawnwaker》

Zirda, the Dawnwaker {1}{R/W}{R/W}
Legendary Creature — Elemental Fox
Companion — Each permanent card in your starting deck has an activated ability. (If this card is your chosen companion, you may cast it once from outside the game.)
Abilities you activate that aren't mana abilities cost {2} less to activate. This effect can't reduce the mana in that cost to less than one mana.
{1}, {T}: Target creature can't block this turn.
3/3

イコリア:巨獣の棲処で一番注目しているカードだ。

3マナ3/3で起動型能力のマナコストを2減少させ,1マナタップでクリーチャー1体をブロックできなくする。これに加えて,デッキ内のパーマネントに起動型能力持ちを条件とした相棒を持っている。

《訓練場/Training Grounds》を内蔵しているカードだ。起動型能力のコストを増加させるカードには《抑制の場/Suppression Field》があったが,減少させるカードとしては白では初となる。

《ハートストーン/Heartstone》はクリーチャー限定で1マナしか減少させず,少々使いにくかった。しかし,このカードは「マナ能力以外」が条件のため,汎用性が高い。基本的には起動型能力のコスト減少が主用途になるだろう。

発表時から指摘されている,《厳かなモノリス/Grim Monolith》や《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith》と2枚で無限マナコンボを形成する。極めつけなのは,《黎明起こし、ザーダ/Zirda, the Dawnwaker》が相棒を持っていることだ。

つまり,相棒の条件を満たせば《厳かなモノリス/Grim Monolith》か《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith》の1枚を引けば無限マナコンボを達成できる。これは条件がかなり緩く,狙えば3-4ターン目にほぼ確実にコンボを成立できる。

白のコンボでここまで達成が容易なものはない。ただし,相棒を使う場合,《虚空の杯/Chalice of the Void》,《難題の予見者/Thought-Knot Seer》が使えない欠点がある。そのため,《黎明起こし、ザーダ/Zirda, the Dawnwaker》の防御方法を考える必要がある。

この点に関しては,《イーオスのレインジャー長/Ranger-Captain of Eos》が適任に感じている。除去や打ち消し持ちの相手に対しては,《イーオスのレインジャー長/Ranger-Captain of Eos》から入り,コンボ始動直前に能力で相手の干渉を禁止できる。

3マナで少々重いのだが,単体でもフィニッシャーの《歩行バリスタ/Walking Ballista》をサーチできることと,基本性能も悪くなく,一度着地すればいつでも《沈黙/Silence》を打てるところが強い。

その他,除去に関しては昔ながらの《ルーンの母/Mother of Runes》,《心優しきボディガード/Benevolent Bodyguard》,《命の恵みのアルセイド/Alseid of Life’s Bounty》あたりを使う手もある。

ヒロシさんの見解では,リベリオンには100 %ないとのことだったが,レベル以外であれば十分可能性があるように感じた。

そもそも無限マナコンボが決まるならば,レベルクリーチャーよりも《歩行バリスタ/Walking Ballista》や《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》,《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》で決めたほうがてっとりばよいだろう。

モノリス無限マナコンボの他に,既存のバリヘルコンボやサルベイジャーコンボとも相性がよい。

肝心の《厳かなモノリス/Grim Monolith》と《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith》はエターナル構築 (レガシー,ヴィンテージ) と統率者でしか使えないため,世間の注目度はいまいちかもしれない。しかし,白使いとしては《太陽冠のヘリオッド/Heliod, Sun-Crowned》に続く,新たな無限コンボの成立であり,非常に期待している。

コンボパーツの《厳かなモノリス/Grim Monolith》は再録禁止であり,一時2万円まで高騰したことがある。現在は8000円程度と相場最安であり,今後急騰する可能性を感じたので,少々出費だが残り3枚を急遽購入した。

結論

テーロス還魂記の《太陽冠のヘリオッド/Heliod, Sun-Crowned》による《歩行バリスタ/Walking Ballista》との無限コンボに続いて,《黎明起こし、ザーダ/Zirda, the Dawnwaker》と《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith》か《厳かなモノリス/Grim Monolith》による無限コンボが成立した,白として非常に期待できるカードセットだった。

無限マナコンボについ目が奪われがちだが,《ラバブリンクの冒険者/Lavabrink Venturer》と《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》も十分に強い。何より,相棒やキーワード・カウンターのメカニズムが魅力的でわくわくするカードセットだった。

以下のカードは購入予定だ。

  • 2-3枚: 《ラバブリンクの冒険者/Lavabrink Venturer》
  • 1枚以上: 《黎明起こし、ザーダ/Zirda, the Dawnwaker》
  • 1枚以上: 《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream Den》

《黎明起こし、ザーダ/Zirda, the Dawnwaker》には非常に期待している。あまりにも期待しているので,一番値上がりの可能性が高い《厳かなモノリス/Grim Monolith》を3枚追加で購入したくらいだ。

発売後には是非《黎明起こし、ザーダ/Zirda, the Dawnwaker》を使った無限マナコンボを組んでみたい。相棒となる《イーオスのレインジャー長/Ranger-Captain of Eos》や《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith》の収集も進めたい。

白は統率者で最弱と噂されるほどであり,実際エターナル構築ではいまいちだった。しかし,ここにきてテーロス還魂記の《太陽冠のヘリオッド/Heliod, Sun-Crowned》に続いて,《黎明起こし、ザーダ/Zirda, the Dawnwaker》により白の無限コンボが2個も成立するようになった。

白復活の兆しが見えてきたように感じる。イコリア:巨獣の棲処発売後のメタゲームに注視したい

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コメント

  1. […] カード評価: イコリア:巨獣の棲処 | キーワード・カウンターに相棒,新たな白の無限コンボの成立に期待の膨らむカードセット […]

  2. […] イコリア:巨獣の棲処のカード評価では能力が限定過ぎていまいちという評価をした。その後,他の人のDiaryNoteなどを眺めてみると,統率者では相手だけ統率者のキャストを禁止できる […]

  3. […] プロテクションの対象範囲が広い《ラバブリンクの冒険者/Lavabrink Venturer》も今後トーナメントで活躍する可能性がある。そのため,イコリア:巨獣の棲処のカード評価でも取り上げた。 […]

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