概要
2020-04-17 Fri発売の新しい特殊カードセットの「統率者2020」の全カードリストが2020-04-07 Tueに公開されたのでレビューする。
統率者2020は特殊セットなため,再録カード以外は構築 (スタンダード,パイオニア,モダン) フォーマットでは使用できない。その代わり,エターナル構築 (レガシー,ヴィンテージ) で使用可能だ。
統率者向けのカードセットで全体的に癖の強いカードが多いのが特徴だ。
特に白のエターナル構築視点で興味を持った以下のカードをレビューする。
- 《地図作りの鷹/Cartographer’s Hawk》
- 《境界のレインジャー/Verge Rangers》
- 《生命力の狩人/Vitality Hunter》
- 《空中対応員/Aerial Responder》
- 《報奨密偵/Bounty Agent》
- 《敬虔な司祭/Devout Chaplain》
- 《いつまでも共に/Together Forever》
- 《謎めいた三葉虫/Cryptic Trilobite》
- 《聖域の刃/Sanctuary Blade》
- 《巣ごもりの地/Nesting Grounds》
少々数が多いのでさくっとレビューする。
評価
1. 《地図作りの鷹/Cartographer’s Hawk》
Cartographer's Hawk / 地図作りの鷹 (1)(白) クリーチャー — 鳥(Bird) 飛行 地図作りの鷹が、土地をあなたよりも多くコントロールしているプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えたとき、これをオーナーの手札に戻す。そうしたなら、あなたは「あなたのライブラリーから平地(Plains)カード1枚を探し、タップ状態で戦場に出し、その後あなたのライブラリーを切り直す。」を選んでもよい。 2/1
2/1飛行という白の2マナ域としては問題ない性能に,《土地税/Land Tax》から始まる白でときどき登場する条件付きの土地加速だ。手札に加えるのではなく,戦場に出すというのが強い。
後手2ターン目の速効性では《白蘭の騎士/Knight of the White Orchid》に軍配が上がるが,こちらは先手2ターン目に先置きしても問題ない点が強い。
白の土地加速はほぼ選択肢がないので,このカードは有力なカードだ。
しかし,エターナル構築では少々悠長すぎるような気がする。やはり,同じ基本性能で墓地対策ができる《悔恨する僧侶/Remorseful Cleric》のほうが有力だろう。
ミッドレンジや《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》あたりとの組み合わせに可能性があるだろうか?
2. 《境界のレインジャー/Verge Rangers》
Verge Rangers / 境界のレインジャー (2)(白) クリーチャー — 人間(Human) スカウト(Scout) 先制攻撃 あなたはいつでもあなたのライブラリーの一番上のカードを見てよい。 対戦相手1人が土地をあなたよりも多くコントロールしているかぎり、あなたはあなたのライブラリーの一番上から土地をプレイしてもよい。(これにより土地をプレイするには、あなたは土地プレイを残している必要がある。) 3/3
《地図作りの鷹/Cartographer’s Hawk》に続いて,土地の枚数を参照するカードだ。
3/3先制攻撃という基本性能に加え,ライブラリートップの閲覧効果と,ライブラリートップからの土地プレイが可能になる。
追加の土地セットではないので,マナ加速にはならないのが惜しい。ただ,ライブラリートップの土地をセット可能ということで,ある意味手札が1枚増えた状態になる。
白でアドバンテージをとれるカードは貴重なため,追加マナなしで継続的にアドバンテージをとれる可能性のあるこのカードはなかなか面白い。
ただ,相手より土地を少ない状態を維持しないと肝心の土地セットができないため,いずれ土地セットはできなくなる。
面白いカードではあるのだが,少々冗長過ぎる。まだ,《イーオスのレインジャー長/Ranger-Captain of Eos》や《護衛募集員/Recruiter of the Guard》のほうが使いやすいか。どちらも《ドライアドの東屋/Dryad Arbor》をサーチできるので…
3. 《生命力の狩人/Vitality Hunter》
Vitality Hunter / 生命力の狩人 (3)(白) クリーチャー — ナイトメア(Nightmare) 絆魂 (X)(白)(白):怪物化Xを行う。(このクリーチャーが怪物的でないなら、これの上に+1/+1カウンターをX個置く。これは怪物的になる。) 生命力の狩人が怪物的になったとき、クリーチャー最大X体を対象とし、それらの上に絆魂カウンターをそれぞれ1個置く。 3/4
4マナ3/4版魂で怪物化XWWを持つ。4マナ3/4絆魂だけだと,《太陽の恵みの執政官/Archon of Sun’s Grace》のほうが強い。ただ,怪物化があるので,最低でも5/6絆魂にはなれる。基本性能は悪くない。
ただ,4マナクリーチャーには,《難題の予見者/Thought-Knot Seer》や《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》くらいの決定力がほしい。
やはり少々いまいちか。
4. 《空中対応員/Aerial Responder》
Aerial Responder / 空中対応員 (1)(白)(白) クリーチャー — ドワーフ(Dwarf) 兵士(Soldier) 飛行、警戒、絆魂 2/3
カラデシュからの再録カードだ。《吸血鬼の夜鷲/Vampire Nighthawk》と似た性能のウィニークリーチャーとなっている。
どの能力も装備品などのサイズ強化能力と相性がいい。《セラの報復者/Serra Avenger》を昔愛用していたが,性能がどんどん近づいてきている。
MTG Wikiではクリーチャータイプに兵士があるので,レガシーの兵士デッキで採用されるケースもあるらしい。
ただ,3マナでたいした脅威にならないので,少々物足りないか。
5. 《報奨密偵/Bounty Agent》
Bounty Agent / 報奨密偵 (1)(白) クリーチャー — 人間(Human) 兵士(Soldier) 警戒 (T),報奨密偵を生け贄に捧げる:アーティファクトかクリーチャーかエンチャントである伝説のパーマネント1つを対象とし、それを破壊する。 2/2
ラブニカのギルドからの再録カードだ。2/2警戒の基本性能に加え,タップ生贄で伝説のパーマネントを破壊できる。
第一印象で《キャパシェンの一角獣/Capashen Unicorn》を思い出した。白には《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》のような《解呪/Disenchant》持ちの生物がほぼいない。特にアーティファクトを処理できるクリーチャーが欠如している。
ぱっとみ白の《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》かと期待したのだが,伝説のパーマネントという条件がついており,少々落胆した。せめて英雄的,プレインズウォーカーを処理できるのであれば範囲が広くて可能性があったのだが…
追放なら,《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature’s Wrath》を処理することもできたのだが…いろいろ惜しい。
範囲が狭く使いどころが難しいカードだ。
6. 《敬虔な司祭/Devout Chaplain》
Devout Chaplain / 敬虔な司祭 (2)(白) クリーチャー — 人間(Human) クレリック(Cleric) (T),あなたがコントロールするアンタップ状態の人間(Human)2体をタップする:アーティファクト1つかエンチャント1つを対象とし、それを追放する。 2/2
アヴァシンの帰還からの再録カードだ。
《報奨密偵/Bounty Agent》で白の《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》でなくてがっかりしていたところで,続いてこのカードに目が止まった。
前述した通り,白の《解呪/Disenchant》持ちクリーチャーは数が少なく,せいぜい《キャパシェンの一角獣/Capashen Unicorn》,《誠実な証人/Devout Witness》,《デュルガーの垣魔道士/Duergar Hedge-Mage》くらいしかない。そこに新たな1枚が加わった。
都合クリーチャー3体のタップでアーティファクトかエンチャントを追放できる。
頭数はクリーチャートークンでなんとかできるとしても,召喚酔いが少々きびしい。確実性の高い《誠実な証人/Devout Witness》のほうがましではないか。
ただ,人間・クレリックという部族から,ヴィンテージのエルドラージ・ホワイトで,《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》,《封じ込める僧侶/Containment Priest》,《輝きの乗り手/Glowrider》あたりと組み合わせられる可能性がある。
エルドラージ・ホワイトでは《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》,《輝きの乗り手/Glowrider》などで,非クリーチャー呪文へのマナコスト増加 (課税) が基本行動になるため,クリーチャーでのエンチャント・アーティファクト除去が望ましい。そして,モックスをはじめ対処したいアーティファクトが多いので,繰り返し使用可能な《解呪/Disenchant》は強い。
本体の召喚酔いさえどうにかできれば,可能性はあるように感じた。
7, 《いつまでも共に/Together Forever》
Together Forever / いつまでも共に (白)(白) エンチャント いつまでも共にが戦場に出たとき、支援2を行う。(他のクリーチャー最大2体を対象とし、それらの上に+1/+1カウンターをそれぞれ1個置く。) (1):カウンターが置かれているクリーチャー1体を対象とする。このターン、そのクリーチャーが死亡したとき、そのカードをオーナーの手札に戻す。
バトルボンドからの再録カードだ。マイナーなカードセットからの再録で供給が増えて嬉しい。
ETBで支援2と死亡時に手札に戻すリアニメイト効果を持つ。
単体でも白白のパーマネントということで,信心を稼ぐのにうってつけのカードだ。
何かコンボの匂いのするカードだ。今は思いつかないが,今後何か新しいコンボが成立しそうな予感がする。
ただ,現状うまい活用方法が思いつかない。
8. 《謎めいた三葉虫/Cryptic Trilobite》
Cryptic Trilobite / 謎めいた三葉虫 (X)(X) クリーチャー — 三葉虫(Trilobite) 謎めいた三葉虫は、+1/+1カウンターがX個置かれた状態で戦場に出る。 謎めいた三葉虫の上から+1/+1カウンターを1個取り除く:(◇)(◇)を加える。このマナは、能力を起動するためにのみ使用できる。 (1),(T):謎めいた三葉虫の上に+1/+1カウンターを1個置く。 0/0
《搭載歩行機械/Hangarback Walker》に似たカードで,+1/+1カウンターの除去で起動型能力専用の2マナを生成する。
自己を強化する能力があるので,序盤に出して貯めることもできる。意外なことに,アーティファクトではない無色クリーチャーだ。
これまた《いつまでも共に/Together Forever》と同じくコンボ臭漂うカードだ。今後の研究に期待したい。
9. 《聖域の刃/Sanctuary Blade》
Sanctuary Blade / 聖域の刃 (2) アーティファクト — 装備品(Equipment) 聖域の刃がクリーチャーについた状態になるに際し、色を1色選ぶ。 装備しているクリーチャーは、+2/+0の修整を受け、プロテクション(その最後に選ばれた色)を持つ。 装備(3)
《骨断ちの矛槍/Bonesplitter》に任意の色のプロテクションを付与できる。
マナコストが少々重いが,任意の色のプロテクションは強力な効果だ。《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》のような剣サイクルと比べると,汎用性が上がった代わりに性能が落ちた。
ただ,カードパワーがコストに比べて物足りない。
10. 《巣ごもりの地/Nesting Grounds》
Nesting Grounds / 巣ごもりの地 土地 (T):(◇)を加える。 (1),(T):あなたがコントロールしているパーマネント1つと、他のパーマネント1つを対象とする。その前者の上からカウンター1個を、その後者の上に移動する。この能力は、あなたがソーサリーを唱えられるときにのみ起動できる。
パーマネント上のカウンターを移動させることができる。インスタントタイミングで起動できれば,《霊気の薬瓶/AEther Vial》と《虚空の杯/Chalice of the Void》でコンボを組めたかもしれない。
ダイス・ファクトリーをレガシーで組む場合に役に立つかもしれない。
結論
統率者2020で気になる白のカードをレビューした。
統率者2020という特殊セットの都合,くせの強いカードが多かった。白としては,そこまで強いカードがなくて,白が統率者最弱というのもある意味納得のカード揃えだった。
実際ほしいカードもせいぜい《敬虔な司祭/Devout Chaplain》くらいだった。
イコリア:巨獣の棲処と同じくサイクリングをフィーチャーしていて,《波動機/Fluctuator》の再録や,《見捨てられた石棺/Abandoned Sarcophagus》が登場したが,白としては強いサイクリングカードがないので,いまいちに感じた。
統率者はプレイしていないのだが,全体除去やトークンで戦うようなカードが多く,受け身的で勝ち切るのが難しそうに感じた。
黎明期の《天秤/Balance》,《ハルマゲドン/Armageddon》,《神の怒り/Wrath of God》,《解呪/Disenchant》のようなパワーカードを白で新しく作るのは難しいかしらね…
イコリア:巨獣の棲処で期待のカードが登場したので,そちらの可能性を探っていきたい。
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[…] 直近の,統率者2020は,白のカードが正直弱くていまいちだった。 […]