カード評価: 基本セット2021 | 強力天使や新PWが収録されたが,白のパワー不足を感じる基本セット

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概要

2020-07-03 Fri発売の新しいカードセットの「基本セット2021」の全カードリストが2020-06-16 Thuに公開されたのでレビューする。なお,基本セット2021はプレインズウォーカー・デッキがあり,こちらにしか収録されていないカードもあるので注意する。

基本セット2021は毎年発売されるMTGの基本的なカードセットであり,入門用のイメージが強い。ただ,基本セット2020で《夏の帳/Veil of Summer》が禁止されたり,《原始のタイタン/Primeval Titan》のように基本セットが初出であるものの,大会で大きく活躍したカードもあるため,入門だからといって侮ってはいけない。

特に白のエターナル構築視点で興味を持った以下のカードをレビューする。

  1. 天使への昇天/Angelic Ascension
  2. 《悪斬の天使/Baneslayer Angel》
  3. バスリ・ケト/Basri, Devoted Paladin
  4. バスリの副官/Basri’s Lieutenant
  5. 《封じ込める僧侶/Containment Priest》
  6. 《栄光の頌歌/Glorious Anthem》
  7. 忍耐の偶像/Idol of Endurance
  8. 約束の光/Light of Promise
  9. 外交官、マンガラ/Mangara, the Diplomat
  10. 九つの命/Nine Lives
  11. 群れを導くもの/Pack Leader
  12. やんちゃな犬/Rambunctious Mutt
  13. 歴戦の神聖刃/Seasoned Hallowblade
  14. 《ヴリンの翼馬/Vryn Wingmare》
  15. 《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》
  16. 精神迷わせの秘本/Mazemind Tome
  17. 《パラジウムのマイア/Palladium Myr》
  18. 灯狩人のマスティコア/Sparkhunter Masticore
  19. トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt
  20. 鳥獣保護区/Animal Sanctuary

少々数が多いのでさくっとレビューする。

評価

1. 天使への昇天/Angelic Ascension

Angelic Ascension {1}{W}
Instant
Exile target creature or planeswalker. Its controller creates a 4/4 white Angel creature token with flying.

白の2マナでクリーチャーかプレインズウォーカーを確実に処理できるカードだ。同じく2マナでプレインズウォーカーを処理できるカードは,過去に購入報告した《天界の粛清/Celestial Purge》か《予期せぬ不在/Unexpectedly Absent》の2枚しか存在していなかった。

そういう意味で気になった。ただ,代わりに生成される《セラの天使/Serra Angel》相当のクリーチャートークンはさすがに無視できない。

自軍クリーチャーにコンバットトリックとして使うという手もありだが,その場合追放というのが破壊不能やリアニメイトとの組み合わせができなく,使いにくい。

その点だと,《過大な贈り物/Generous Gift》のほうが使いやすい。

使い方としては,自軍のクリーチャートークンやコンバットトリックとして2マナ4/4飛行として運営するのがいいだろうか。

2. 《悪斬の天使/Baneslayer Angel》

Baneslayer Angel / 悪斬の天使 (3)(白)(白)
クリーチャー — 天使(Angel)
飛行、先制攻撃、絆魂、プロテクション(デーモン(Demon))、プロテクション(ドラゴン(Dragon))
5/5

MTG休止前の基本セット2010が初登場の強力な天使だ。登場当時はレガシーのZooへの採用実績がある。Zooのミラーマッチで《悪斬の天使/Baneslayer Angel》入りのZooが勝利するというほど,ビート同士での制圧力に定評のあるカードだ。

しかし,10年経って環境のカードパワーがインフレして,レガシーでは立場が少々厳しい。《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》やら《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》などがいるからだ。

同じ5マナなら出たときに一番の脅威を処理できる《賞罰の天使/Angel of Sanctions》のほうがまだいいのではないか?

スタンダードとパイオニアでの白の復権に一躍買いそうなカードだ。

3. バスリ・ケト/Basri, Devoted Paladin

Basri Ket {1}{W}{W}
Legendary Planeswalker — Basri
+1: Put a +1/+1 counter on up to one target creature. It gains indestructible until end of turn.
−2: Whenever one or more nontoken creatures attack this turn, create that many 1/1 white Soldier creature tokens that are tapped and attacking.
−6: You get an emblem with "At the beginning of combat on your turn, create a 1/1 white Soldier creature token, then put a +1/+1 counter on each creature you control."
Loyalty: 3

白の新しいプレインズウォーカーだ。1番目の能力で+1/+1カウンターを設置し,2番目の能力でクリーチャー,3番目の奥義で毎ターン2/2クリーチャーを生成する。

役割としては,《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》に近く感じた。《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope》に近いのだが,単体でアドバンテージを獲得できない点及び,自身を守りきれないのが欠点だ。

2番目の能力も攻撃状態で出てくるため,自身の守りには使えない。《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》と異なり,3番目の能力までの時間が短いので,同じく収録されている《栄光の頌歌/Glorious Anthem》のような,《十字軍/Crusade》とみなし,動きの遅いコントロール相手には奥義で決めるというカードになるだろう。

どちらかというと,有利なときに強いカードでいろいろ惜しい。昨今のカードパワーのインフレを考えると,《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》を3マナにして再録しても問題ないのではなかろうか?

4. バスリの副官/Basri’s Lieutenant

Basri's Lieutenant {3}{W}
Creature — Human Knight
Vigilance, protection from multicolored
When Basri's Lieutenant enters the battlefield, put a +1/+1 counter on target creature you control.
Whenever Basri's Lieutenant or another creature you control dies, if it had a +1/+1 counter on it, create a 2/2 white Knight creature token with vigilance.
3/4

4マナ4/5で除去耐性を持つということで,手堅いカードだ。直近だと,《光明の繁殖蛾/Luminous Broodmoth》に近い。

このカードの特徴は下の効果で,+1/+1カウンターの乗ったクリーチャーの死亡時に,2/2トークンを生成できる。

死亡クリーチャーの条件にトークンも含むのがポイントだ。《金属ミミック/Metallic Mimic》など,+1/+1カウンターを自動的に設置できるカードと組み合わせて,無限コンボを形成できる可能性がある。

今後の研究に期待したい。

5. 《封じ込める僧侶/Containment Priest》

Containment Priest / 封じ込める僧侶 (1)(白)
クリーチャー — 人間(Human) クレリック(Cleric)
瞬速
トークンでないクリーチャーが唱えられずに戦場に出るなら、代わりにそれを追放する。
2/2

今までエターナル構築でしか使えなかったが,今回の収録により全主要フォーマットで使えるようになった。ヴィンテージでも使われる白の優良妨害クリーチャーであり,流通が増えてお買い求めやすくなったのは素直に喜ぶべきことだろう。

6. 《栄光の頌歌/Glorious Anthem》

Glorious Anthem / 栄光の頌歌 (1)(白)(白)
エンチャント
あなたがコントロールするクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。

偶然にも先日禁止された《十字軍/Crusade》の亜種だ。

ただ,昨今のカードパワーのインフレを考えると,パワー不足感が否めず,1/1トークンをおまけにつけてちょうどよい感じではないだろうか。

まだ,《清浄の名誉/Honor of the Pure》は2マナと軽くて,ぎりぎりスタンダードでも通用すると思うので,なぜこちらを収録したのか…

7. 忍耐の偶像/Idol of Endurance

Idol of Endurance {2}{W}
Artifact
When Idol of Endurance enters the battlefield, exile all creature cards with converted mana cost 3 or less from your graveyard until Idol of Endurance leaves the battlefield.
{1}{W}, {T}: Until end of turn, you may cast a creature spell from among the cards exiled with Idol of Endurance without paying its mana cost.

墓地から3マナ以下のクリーチャーをリアニメイトできるカードだ。

うまくやれば,アドバンテージを稼げるのだが,そもそも白には能動的に墓地にカードを落とすカードが乏しく,単体では素直にゲーム中盤以降消耗時に使うくらいしかない。

やや使いにくいか。

8. 約束の光/Light of Promise

Light of Promise {2}{W}
Enchantment — Aura
Enchant creature
Enchanted creature has "Whenever you gain life, put that many +1/+1 counters on this creature."

ライフゲイン時にその分の+1/+1カウンターを配置するオーラだ。クリーチャーを《アジャニの群れ仲間/Ajani’s Pridemate》化するカードだ。絆魂持ちクリーチャーにエンチャントすると,すぐに手が付けられないサイズになる。

《太陽冠のヘリオッド/Heliod, Sun-Crowned》のほうが使いやすいかもしれないが,オーラであることと+1/+1カウンターの設置が回復量のため,何らかのコンボの可能性を感じる。

9. 外交官、マンガラ/Mangara, the Diplomat

Mangara, the Diplomat {3}{W}
Legendary Creature — Human Cleric
Lifelink
Whenever an opponent attacks with creatures, if two or more of those creatures are attacking you and/or a planeswalker you control, draw a card.
Whenever an opponent casts their second spell each turn, draw a card.
2/4

《コロンドールのマンガラ/Mangara of Corondor》以来のマンガラのカード化だ。能力的に,《トレストの使者、レオヴォルド/Leovold, Emissary of Trest》を一瞬期待したのだが,それより条件がやや緩くて,残念だった。

いっそのこと,ドローより《法の定め/Rule of Law》のように,そもそも禁止してくれたほうが強かったのではないか。

神話レアのハズレになりそうな予感がする…

10. 九つの命/Nine Lives

Nine Lives {1}{W}{W}
Enchantment
Hexproof
If a source would deal damage to you, prevent that damage and put an incarnation counter on Nine Lives.
When there are nine or more incarnation counters on Nine Lives, exile it.
When Nine Lives leaves the battlefield, you lose the game.

イラストがライオン・キングを彷彿とさせる印象的なカードだ。肝心の能力は,《ファイレクシアの非生/Phyrexian Unlife》と似た延命カードだ。《ファイレクシアの非生/Phyrexian Unlife》同様,《厳粛/Solemnity》との不死コンボがぱっと思いつく。

《ファイレクシアの非生/Phyrexian Unlife》と異なり,ダメージしか防げず,しかも軽減されないダメージは防げない。《むかつき/Ad Nauseam》とも組み合わせられず,呪禁はあるが通常は使いにくい。

カスレアになりそう…

11. 群れを導くもの/Pack Leader

Pack Leader {1}{W}
Creature — Dog
Other Dogs you control get +1/+1.
Whenever Pack Leader attacks, prevent all combat damage that would be dealt this turn to Dogs you control.
2/2

白で数少ない2マナの部族ロードだ。2マナの白の部族ロードは数が少なく,過去には《皺だらけの主/Wizened Cenn》,《サリアの副官/Thalia’s Lieutenant》がいた。

下の能力が自分を含めるところが強く,戦闘では無類の強さを誇る可能性がある。

今回はマイナー部族の犬のロードだ。白の犬は数が少なく,《巡視犬/Patrol Hound》くらいしか思いつかない。と思ったが,《巡視犬/Patrol Hound》は猟犬か。

現状では有力なカードが少なく,まだデッキとして成立しない気がする。今後の新しい白の犬に期待したい。

12. やんちゃな犬

Rambunctious Mutt {3}{W}{W}
Creature — Dog
When Rambunctious Mutt enters the battlefield, destroy target artifact or enchantment an opponent controls.
3/4

ETBでアーティファクトを破壊できるカードだ。ETBでのアーティファクトの破壊クリーチャーは白では希少で,《デュルガーの垣魔道士/Duergar Hedge-Mage》,《賞罰の天使/Angel of Sanctions》くらいしか知らない。そこに新しいカードが加わった。

しかし,マナコストが少々重い。3マナくらいで登場してくれないか…

13. 歴戦の神聖刃/Seasoned Hallowblade

Seasoned Hallowblade {1}{W}
Creature — Human Warrior
Discard a card: Tap Seasoned Hallowblade. It gains indestructible until end of turn. (Damage and effects that say “destroy” don’t destroy it.)
3/1

《巡視犬/Patrol Hound》と同じく,共鳴者の一種だ。白の共鳴者は《巡視犬/Patrol Hound》,《不屈の部族/Tireless Tribe》くらいしか使われおらず,このカードは多くの場面で《巡視犬/Patrol Hound》より強いだろう。

《アダントの先兵/Adanto Vanguard》とよく似ている。いつでも利用可能な除去耐性はけっこう強い。今後のスタンダードの白ウィニーの基本クリーチャーになる可能性はある。白ウィニーの2マナ域の候補が追加された。

14. 《ヴリンの翼馬/Vryn Wingmare》

Vryn Wingmare / ヴリンの翼馬 (2)(白)
クリーチャー — ペガサス(Pegasus)
飛行
クリーチャーでない呪文を唱えるためのコストは(1)多くなる。
2/1

マジック・オリジンからの再録となる。レアリティがアンコモンに格下げになり,能力的に順当となった。

15. 《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》

Ugin, the Spirit Dragon / 精霊龍、ウギン (8)
伝説のプレインズウォーカー — ウギン(Ugin)
[+2]:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。精霊龍、ウギンはそれに3点のダメージを与える。
[-X]:点数で見たマナ・コストがX以下の、1色以上の色を持つ各パーマネントをそれぞれ追放する。
[-10]:あなたは7点のライフを得て、カードを7枚引く。その後、あなたの手札にある最大7枚までのパーマネント・カードを戦場に出す。
7

運命再編からの再録となった。流通が少なく,値段が高騰していたので,ユーザーとしては値段が安定してよかった。エルドラージ・ポストやトロン系相手では,白ウィニーとしてはこのカードを出されるとほぼ負けになる嫌なカードだ。《謙虚/Humility》もまとめて吹き飛ばされるのが悪夢で若干トラウマになっている。

白系のビッグマナデッキは組んだことがないのだが,《厳かなモノリス/Grim Monolith》を4枚揃えたのもあるので,白としてもありかもしれない。

16. 精神迷わせの秘本/Mazemind Tome

Mazemind Tome {2}
Artifact
{T}, Put a page counter on Mazemind Tome: Scry 1.
{2}, {T}, Put a page counter on Mazemind Tome: Draw a card.
When there are four or more page counters on Mazemind Tome, exile it. If you do, you gain 4 life.

基本セットの常連だった秘本カードから新しい秘本が登場した。《ジェイムデー秘本/Jayemdae Tome》は重く,《ジェイラム秘本/Jalum Tome》はアドバンテージが取れなかった。

それらに比べるとこのカードは大幅に使いやすい。2マナと軽く,キャスト後に即座に占術1を行えるのは無駄がなくていい。4回しか能力を起動できないが,4点ゲインできるし,2-3枚カードを引ければ十分でしょう。

構築だと環境速度に応じては悠長すぎるかもしれない。

17. 《パラジウムのマイア/Palladium Myr》

Palladium Myr / パラジウムのマイア (3)
アーティファクト クリーチャー — マイア(Myr)
(T):(◇)(◇)を加える。
2/2

ミラディンの傷跡からの再録となる白で貴重なマナ加速カードだ。4ターン目に6マナ出せるのは悪くない。後半に引いても,最悪壁にもなる。

18. 灯狩人のマスティコア/Sparkhunter Masticore

Sparkhunter Masticore {3}
Artifact Creature — Masticore
As an additional cost to cast this spell, discard a card.
Protection from planeswalkers
{1}: Sparkhunter Masticore deals 1 damage to target planeswalker.
{3}: Sparkhunter Masticore gains indestructible until end of turn.
3/4

《小型マスティコア/Lesser Masticore》の亜種だ。手札の要求がキャスト時のみで,負担が小さくなった。プロテクション (プレインズウォーカー) を持ち,プレインズウォーカー限定のティム能力を持つ。

マナコストの都合,出してからダメージを飛ばせるまで1ターンはかかるため,先置きするのが基本的な使い方だろうか。

除去耐性は3マナで破壊不能のため,少々重くこちらを構えるのは難しい。プレインズウォーカー対策をするならば,素直に《真髄の針/Pithing Needle》が手堅いだろうか。

19. 《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》

Tormod's Crypt / トーモッドの墓所 (0)
アーティファクト
(T),トーモッドの墓所を生け贄に捧げる:プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーの墓地のカードをすべて追放する。

昔からの定番の墓地対策カードがスタンダードとパイオニアで使えるようになった。最近は,《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》がテーロス還魂記で登場したので,多くの場合そちらで事足りるか。

鳥獣保護区/Animal Sanctuary

Animal Sanctuary
Land
{T}: Add {C}.
{2}, {T}: Put a +1/+1 counter on target Bird, Cat, Dog, Goat, Ox, or Snake.

2マナタップで動物に+1/+1カウンターを設置できる。ただの土地に+1/+1カウンターの設置能力が付いているのはさすがに強い。

どれもマイナー部族なので,今後強力な該当部族が登場すると一気に値段が高騰するだろう。

結論

基本セット2021の白のカードをレビューした。今回は特に購入したいカードがなかった。

新しい白のプレインズウォーカーの登場や,《悪斬の天使/Baneslayer Angel》の再録は気になった。ただ,全体としては白はいまいちぱっとしない。「群れを導くもの」は今後の可能性を感じるが,当分スタンダードでも白ウィニーは冬の時代が続くでしょうな…

ドミナリアで《ベナリアの軍司令/Benalish Marshal》や《ベナリア史/History of Benalia》が活躍した反動だろうか。

基本セット2020のレビューと比較すると,再録カードが多く,気になるカードは多かった。ただ,それでもカードパワー不足を感じる。テーロス還魂記,イコリア:巨獣の棲処と白で強いカードが登場したため,しかたないか…。

なお,近日告知予定だが,カード評価は一旦これが最後となる。今後も白ウィニーにとって強力なカードが登場することを期待したい。