概要
2020-11-20 Fri発売のカードセットの「統率者レジェンズ」の全カードリストが公開されたのでレビューする。
統率者レジェンズは盛り上がりを見せている統率者戦に特化したカードセットとなっている。
直近の,統率者2020は,白のカードが正直弱くていまいちだった。
今回の統率者レジェンズでは,オーラ・装備に特化させた収録になっており,白の統率者戦での立ち位置,方向性が感じられて悪くなかった。
エターナル構築 (レガシー,ヴィンテージ) 視点で,特に注目している以下のカードをレビューする。
- 《剛胆な考古学者、アーデン/Ardenn, Intrepid Archaeologist》
- 《鎧の空狩人/Armored Skyhunter》
- 《恩寵の宮廷/Court of Grace》
- 《兵士の切りつけ/Slash the Ranks》
以下で1枚ずつレビューしていく。
評価
1. 《剛胆な考古学者、アーデン/Ardenn, Intrepid Archaeologist》
Ardenn, Intrepid Archaeologist / 剛胆な考古学者、アーデン (2)(白) 伝説のクリーチャー — コー(Kor) スカウト(Scout) あなたのターンの戦闘の開始時に、パーマネント1つかプレイヤー1人を対象とする。あなたは、望む数の、あなたがコントロールしているオーラ(Aura)や装備品(Equipment)をそれにつけてもよい。 共闘(両方が共闘を持つなら、あなたは2体の統率者を使用できる。) 2/2
3マナ2/2でオーラと装備品の貼り付け効果を持つ。ハンマータイムでの採用が考えられるだろう。速度面では,《コーの装具役/Kor Outfitter》に劣るが,安定して効果を発動できるので悪くないかもしれない。
統率者レジェンズで,白はオーラ・装備に特化させる方向性が感じられた最初の1枚だった。
2. 《鎧の空狩人/Armored Skyhunter》
Armored Skyhunter / 鎧の空狩人 (3)(白) クリーチャー — 猫(Cat) 騎士(Knight) 飛行 鎧の空狩人が攻撃するたび、あなたのライブラリーの一番上からカードを6枚見る。あなたはその中からオーラ(Aura)か装備品(Equipment)であるカード1枚を戦場に出してもよい。これにより装備品が戦場に出たなら、あなたはそれをあなたがコントロールしているクリーチャーにつけてもよい。残りのカードをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。 3/3
4マナ3/3飛行で攻撃時にトップ6枚からオーラ・装備品を装備した状態でプレイできる。
《稲妻/Lightning Bolt》,《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》と耐えられないタフネス3が少々気になるが,悪くない1枚に感じた。
《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription》や《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》あたりを展開できれば,たった2回の攻撃でゲームに勝てる可能性がある。
この性能は《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》に肩を並べる白の中堅最高クラスの打点だ。1-2ターン目に無理して出す価値はあるかもしれない。
ただ,デッキトップに性能が大きく依存するためランダム要素が高く,デッキ構築の時点で,オーラ・装備品寄りの構成に制限される。ハンマータイムの追加フィニッシャー,モダンの呪禁オーラあたりが順当だろうか。
白の中堅フィニッシャーとして,今後も覚えておくべきカードになるだろう。
3. 《恩寵の宮廷/Court of Grace》
Court of Grace / 恩寵の宮廷 (2)(白)(白) エンチャント 恩寵の宮廷が戦場に出たとき、あなたが統治者になる。 あなたのアップキープの開始時に、飛行を持つ白の1/1のスピリット(Spirit)・クリーチャー・トークンを1体生成する。あなたが統治者であるなら、代わりに、飛行を持つ白の4/4の天使(Angel)クリーチャー・トークンを1体生成する。
統率者レジェンズのETBで統治者になれるサイクルの白のカードだ。サイクルの中では一番強いと思う。次点は,赤の《激憤の宮廷/Court of Ire》だろう。
統治者の性質からいって,クリーチャーを展開できるほうが強い。そして,このカードは単体で飛行持ちクリーチャーを生成できるので,統治者を維持しやすい。
トークンの生成が次のターンになるためラグが少々気になるものの,1-2ターン目に展開できれば,4/4飛行トークンの生成は手堅く,このカード1枚だけで勝てる可能性がある。
伝説でないので2枚目以降の重ね貼りも有効になる。この点は,《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》と異なる大きな強みだろう。
また,トークン生成カードとしては,1/1飛行の場合,2-3マナが相場であるため,ノーアクションでの生成は素直にコスパは高い。
欠点としては,1-2ターン目に出す場合,クリーチャーでないことがネックになる。エターナル構築では,《魂の洞窟/Cavern of Souls》で打ち消しを阻止できるため,クリーチャーの方がキャストの確実性が高い。
非クリーチャーの場合,《意志の力/Force of Will》,《否定の力/Force of Negation》,《目くらまし/Daze》,《呪文貫き/Spell Pierce》などの打ち消し呪文のケアが必要であり,特にクロックパーミッション相手での序盤のキャストが難しい。
白スタックスで,《三なる宝球/Trinisphere》と併用するのが強い使い方だろうか。
白はエンチャントが得意な色なので,《オーラ術師/Auramancer》での回収などうまく構築できれば強くなる可能性を感じる。
《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》や《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》などと同じく,白の中堅フィニッシャーとして覚えておくべきカードになるだろう。
4. 《兵士の切りつけ/Slash the Ranks》
Slash the Ranks / 兵士の切りつけ (3)(白)(白) ソーサリー 統率者を除き、クリーチャーとプレインズウォーカーをすべて破壊する。
待望のプレインズウォーカーを破壊できる《神の怒り/Wrath of God》だ。
地味に,4-5マナでプレインズウォーカーを破壊できる《神の怒り/Wrath of God》が,自分の知る限りなかったように思う。せいぜい,《大変動/Cataclysm》くらいだった。
ここにきて,ようやくプレインズウォーカーを破壊できる《神の怒り/Wrath of God》が登場してくれた。白ではいわずもがなのギデオンが破壊不能のプレインズウォーカーであるため,相性はいい。
エターナル構築では,速度が早いので出番はあまりないが,待ちわびていたので素直に良かった。
結論
統率者レジェンズの白の注目カード4枚を評価した。
前回の統率者戦向けセットでは,「白は統率者戦最弱」の評判通りのいまいちな収録内容だった。しかし,今回は《シガルダの助け/Sigarda’s Aid》などオーラ・装備品に特化させたカードが多く収録されており,統率者戦で白が生き残る道の方向性が示されていて,悪くなかった。
統率者戦での白の弱さに気付いてテコ入れが入ったのかもしれない。
エターナル構築でも,新たな中堅フィニッシャーとなりえる,《鎧の空狩人/Armored Skyhunter》,《恩寵の宮廷/Court of Grace》が登場し,興味深かった。
現時点では購入を検討するほどではないのだが,今後のエンチャント・オーラ・装備品関係のカード次第では,特に《鎧の空狩人/Armored Skyhunter》が化ける可能性があると感じる。
後は,《魂の洞窟/Cavern of Souls》の亜種で,エンチャント・アーティファクトを打ち消されなくする,土地などが出れば《恩寵の宮廷/Court of Grace》にも十分可能性があると思う。
動向を見守りたい。
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