評価: ゼンディカーの夜明け | 白ウィニー冬の時代に終わりを告げる白の強い次元ゼンディカーの再来

概要

出遅れ感が強いのだが,2020-09-25 Fri発売のカードセットの「ゼンディカーの夜明け」の全カードリストが公開されたのでレビューする。

ゼンディカーの夜明けは,ゼンディカー,戦乱のゼンディカーに続く,ゼンディカーを3度目の題材としたエキスパンションとなっている。

戦乱のゼンディカーはMTG休止期間だったため,詳しくは知らないのだが,ゼンディカーブロックは《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》や《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》,《闘争の学び手/Student of Warfare》,《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》,《難題の予見者/Thought-Knot Seer》,《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer》など,白の強い次元だった。

今回のゼンディカーの夜明けも,過去のゼンディカーの次元と同じく,強い白のカードが多数収録されている。ここ1-2年の白ウィニー冬の時代に終わりを告げるほど強力なエキスパンションだと感じたため,レビューしたいと思った。

エターナル構築 (レガシー,ヴィンテージ) 視点で,特に注目している以下のカードをレビューする。

  1. 《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》
  2. 《恐れなき雛/Fearless Fledgling》
  3. 《軍団の天使/Legion Angel》
  4. 《光輝王の野心家/Luminarch Aspirant》
  5. 《毅然たる一撃/Resolute Strike》
  6. 《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》
  7. 《エメリアの呼び声/Emeria’s Call》- 《砕け散ったスカイクレイブ、エメリア/Emeria, Shattered Skyclave》

以下で1枚ずつレビューしていく。

評価

1. 《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》

Archon of Emeria / エメリアのアルコン (2)(白)
クリーチャー — 執政官(Archon)
飛行
各プレイヤーは、毎ターン1つしか呪文を唱えられない。
対戦相手がコントロールしていて基本でない土地はタップ状態で戦場に出る。
2/3

白の妨害能力持ちクリーチャーとなっている。《法の定め/Rule of Law》と《異端聖戦士、サリア/Thalia, Heretic Cathar》に似た能力を持つクリーチャーとなっている。

《法の定め/Rule of Law》の類似カードとしては,《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist》,《弁論の幻霊/Eidolon of Rhetoric》があった。《エーテル宣誓会の法学者/Ethersworn Canonist》はANT全盛期における白ウィニーの貴重な対策カードだった。

《エメリアのアルコン/Archon of Emeria》は飛行があるため,戦力としてカウントしやすい。ただ,その代わりにただのクリーチャーになってしまったため,前2種のように《悟りの教示者/Enlightened Tutor》や《護衛募集員/Recruiter of the Guard》からサーチできなくなってしまった。

主にヴィンテージ向けのカードだと思った。またレガシーでストーム系のデッキが流行るようであれば,メインデッキから採用する可能性はありえる。ただ,サイドボードに入れるとしては,少々微妙で,少々使いにくいカードに感じた。

2. 《恐れなき雛/Fearless Fledgling》

Fearless Fledgling / 恐れなき雛 (1)(白)
クリーチャー — グリフィン(Griffin)
上陸 ― 土地が1つあなたのコントロール下で戦場に出るたび、恐れなき雛の上に+1/+1カウンターを1個置く。ターン終了時まで、これは飛行を得る。
1/1

上陸で+1/+1カウンターと飛行を得る上陸持ちの有力クリーチャーだ。

従来,白で上陸持ちでトーナメントレベルのクリーチャーは《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》しかなかった。そのため,上陸ウィニーとしては,赤を足して《板金鎧の土百足/Plated Geopede》を使うしかなかった。

あるいは,フェッチランドを前提に攻撃時4/5として,殿堂白単での採用実績がある。

今回,《恐れなき雛/Fearless Fledgling》が登場したことで,白単で上陸白ウィニーを組めるようになった。これは大きい。

そして,《恐れなき雛/Fearless Fledgling》は《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》と異なり,+1/+1カウンターが乗るため,上陸をかさ増しできる。カウンターが乗れば,後半土地を引けなくても,十分な戦力となる。ここが《ステップのオオヤマネコ/Steppe Lynx》と違う。爆発力は劣るが,安定性は高く感じた。

エターナル構築の白ウィニーとしては,2マナランドを使いたい都合,上陸白ウィニーは少々いまいちかなと感じている。

昨今のカードパワーのインフレにより,白ウィニーとしては,相手の1マナ除去とドロースペルを《虚空の杯/Chalice of the Void》で止めたほうが,今は有利に感じる。

やるとしたら,《第二の日の出/Second Sunrise》や《群れの統率者アジャニ/Ajani, Caller of the Pride》を使って,2キル3キルを狙う高速ウィニーに特化することになるだろうか。

3. 《軍団の天使/Legion Angel》

Legion Angel / 軍団の天使 (2)(白)(白)
クリーチャー — 天使(Angel) 戦士(Warrior)
飛行
軍団の天使が戦場に出たとき、あなたは「ゲームの外部からあなたがオーナーであり《軍団の天使/Legion Angel》という名前であるカード1枚を公開し、それをあなたの手札に加える。」を選んでもよい。
4/3

ETBでサイドボードから自分自身を手札に加えることができる4/3飛行の天使だ。この性能で,アドバンテージを失わずに展開できるというのは強い。しかし,タフネス3が少々気になる。

白の中堅としては,《稲妻/Lightning Bolt》や《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》を突破できる性能がほしい。それだけが残念だ。

最近は,《氷牙のコアトル/Ice-Fang Coatl》や《悪意の大梟/Baleful Strix》がおり,飛行といえどあまり過信できない。

白の中堅としては,《刃砦の英雄/Hero of Bladehold》や《難題の予見者/Thought-Knot Seer》,《宮殿の看守/Palace Jailer》と枠を争うのだが,若干見劣りを感じる。ETBで後続を確保できるので,ある意味除去体制があるとは見なせるのだが,少々悠長に感じる。

4. 《光輝王の野心家/Luminarch Aspirant》

Luminarch Aspirant / 光輝王の野心家 (1)(白)
クリーチャー — 人間(Human) クレリック(Cleric)
あなたのターンの戦闘の開始時に、あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンターを1個置く。
1/1

個人的ゼンディカーの夜明けトップ2のカードだ。

2マナ1/1で自分の戦闘開始時に+1/+1カウンター1個をばらまける。強力なウィニークリーチャーだ。

過去に登場したカードでは,《鋼の監視者/Steel Overseer》,《主の戦術家/Cenn’s Tactician》,《月皇ミケウス/Mikaeus, the Lunarch》,《サリアの副官/Thalia’s Lieutenant》あたりに似ている。

このカードの特徴は,ノーアクションで継続的にパンプできることだ。従来のカードは,タップや後続が必要などで,テンポが悪かったり安定して強化できなかった。

このカードは,キャストしたターンに2/2になり,ターン毎に+1/+1ずつ巨大化する。2ターン後には,《難題の予見者/Thought-Knot Seer》と勝負できる4/4のサイズになり,すぐに手が負えないサイズになる。

自分の知る限り,白単色には2マナ3/3デメリット無しクリーチャーはいない。それだけでも貴重なのだが,このカードはそれを遥かに上回る。

しかも,+1/+1カウンターを自軍に選んで配置できる。これも強い。素直に,《歩行バリスタ/Walking Ballista》と組み合わせるだけで強力になる。

《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》や《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》のように,白のヘイトベアーは相手にパワー1,タフネス3クリーチャーがいるだけで,ただの置物になる。《光輝王の野心家/Luminarch Aspirant》はそうした小粒クリーチャーを,ノーアクションで継続的に強化できるのが非常に強い。

状況次第では,《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》よりも強いと感じる。《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》で《殴打頭蓋/Batterskull》をサーチする動きは,2ターン動きを拘束される都合,速度が遅く感じることがままあった。サーチ後手札破壊を受けたり,キャスト後アーティファクトを破壊されるなど,動きの遅さがネックになることもあった。

《光輝王の野心家/Luminarch Aspirant》は運用に余計なコストがかからず,テンポがいい。序盤の重要な1-3ターン目に《虚空の杯/Chalice of the Void》,《聖域の僧院長/Sanctum Prelate》,《難題の予見者/Thought-Knot Seer》などと一緒に展開する上で,有利に感じた。

《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》は好きなカードではないのだが,昨今インフレに対抗するためにやむを得ず使ってきた。いよいよ,《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》の採用をやめるときかもしれない。

エルドラージ覚醒で《闘争の学び手/Student of Warfare》が収録されたときのことを思い出す,白ウィニーらしい優良クリーチャーだ。

ヴィンテージではいまいちかもしれないが,レガシーでは通用するカードだと感じた。

市場としては,《太陽の恵みの執政官/Archon of Sun’s Grace》同様,過小評価されている。白ウィニー使いとしては,迷わず4枚揃えたいと思うカードだった。

5. 《毅然たる一撃/Resolute Strike》

Resolute Strike / 毅然たる一撃 (白)
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+2/+2の修整を受ける。それが戦士(Warrior)であるなら、あなたはあなたがコントロールしている装備品(Equipment)1つをそれにつけてもよい。

《シガルダの助け/Sigarda’s Aid》や《磁力窃盗/Magnetic Theft》に近いインスタントタイミングでの装備カードだ。

《巨像の鎚/Colossus Hammer》が登場して有名になったハンマータイムでの採用が検討される優良コモンだ。

《シガルダの助け/Sigarda’s Aid》,《純鋼の聖騎士/Puresteel Paladin》あたりとともに,装備コストの踏み倒しカードとして悪くないと感じた。ただ,装備の条件が戦士の部族に限定されるのがネックだ。ハンマータイムの1マナ域の《コーの決闘者/Kor Duelist》は部族が兵士でミスマッチなのが惜しい。

6. 《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》

Skyclave Apparition / スカイクレイブの亡霊 (1)(白)(白)
クリーチャー — コー(Kor) スピリット(Spirit)
スカイクレイブの亡霊が戦場に出たとき、あなたがコントロールしておらず点数で見たマナ・コストが4以下で土地でもトークンでもないパーマネント最大1つを対象とする。それを追放する。
スカイクレイブの亡霊が戦場を離れたとき、その追放されたカードのオーナーは青のX/Xのイリュージョン(Illusion)・クリーチャー・トークンを1体生成する。Xは、その追放されたカードの点数で見たマナ・コストに等しい。
2/2

ゼンディカーの夜明けの白のトップ1のカードが《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》だ。

《忘却の輪/Oblivion Ring》に近い除去能力を持つクリーチャーだ。決定的なのは,追放したカードが返ってこないことだ。これが圧倒的に強い。

《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》を採用する都合,エンチャント・アーティファクト破壊をサイド後に相手が積んでることが多く,ゲーム後半で《忘却の輪/Oblivion Ring》で除去した相手の脅威を取り戻されて負けることがよくあった。

《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》は,追放したカードは戻ってこず,代わりに等しいマナコストのパワー/タフネスのバニラトークンとなる。この違いが非常に大きい。取り返されることがないので,安心して展開できる。

また,能力の対象範囲が非常に広く,無駄になるケースが少ない。せいぜいリアニメイト,ドレッジ,ANT,《実物提示教育/Show and Tell》くらいしかなく,大多数のフェアデッキに有効だ。

特に,デルバーデッキ相手には《魂の洞窟/Cavern of Souls》経由でキャストすることで,《もみ消し/Stifle》されない限り,ほぼ確定除去となる。《爆発域/Blast Zone》で痛感しているが,クロックパーミッション相手の打ち消されない確定除去は非常に心強い

《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer》や《ちらつき鬼火/Flickerwisp》との相性も良好だ。特に,《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer》と併用できれば,相手戦場を更地にできる。

今の環境であれば,メインに2-3枚,サイドにも1枚確保して,フェアデッキ相手にサイド後4積みしたいカードだ。白使いであれば,間違いなく4枚入手が必須のカードだろう。

《レンと六番/Wrenn and Six》,《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》でここ1-2年泣かされてきた白ウィニーだが,このカードがあれば,太刀打ちできる。

ヴィンテージでも十分通用するだろう。

7. 《エメリアの呼び声/Emeria’s Call》 – 《砕け散ったスカイクレイブ、エメリア/Emeria, Shattered Skyclave》

Emeria's Call / エメリアの呼び声 (4)(白)(白)(白)
ソーサリー
飛行を持つ白の4/4の天使(Angel)・戦士(Warrior)クリーチャー・トークンを2体生成する。あなたの次のターンまで、あなたがコントロールしていて天使でないクリーチャーは破壊不能を得る。
Emeria, Shattered Skyclave / 砕け散ったスカイクレイブ、エメリア
土地
砕け散ったスカイクレイブ、エメリアが戦場に出るに際し、あなたは3点のライフを支払ってもよい。そうしないなら、これはタップ状態で戦場に出る。
(T):(白)を加える。

ゼンディカーの夜明けの白のトップ3がこのカードだ。

ゼンディカーの夜明けの目玉でもある両面カードサイクルだ。サイクルの内,白マナのアンタップイン可能な土地を第2面にもつのが《エメリアの呼び声/Emeria’s Call》だ。

このカードを一言でいうと,「《金属モックス/Chrome Mox》に刻印可能な土地」に尽きる。

両面カードは戦場以外では第1面の性質を持つため,《金属モックス/Chrome Mox》に刻印できる。これだけで十分役に立つ。

《意志の力/Force of Will》を使ったことはないのだが,ブルーカウントを気にする気持ちが,《金属モックス/Chrome Mox》を使いだしてわかるようになってきた。

《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer》や《難題の予見者/Thought-Knot Seer》,《虚空の杯/Chalice of the Void》,《歩行バリスタ/Walking Ballista》など,白単ではあるものの,デッキ内の無色率が高くなってきており,《金属モックス/Chrome Mox》の刻印先が不足するということがでてきた。

土地も無色であるため,《金属モックス/Chrome Mox》に刻印可能な土地というのは強力だ。1-2ターン目の初動でゲームが決まることが多いので,初手の《金属モックス/Chrome Mox》の刻印先を確保できるというのは,代えがたい。

一応,《金属モックス/Chrome Mox》の代わりに《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》を採用するという手もあるのだが,あいにく《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》は高額レアとなり,予算オーバーだ。

第1面のキャストはあまりなく,基本的には《金属モックス/Chrome Mox》の刻印先,または第2面の《砕け散ったスカイクレイブ、エメリア/Emeria, Shattered Skyclave》の土地としてのプレイがメインとなる。

ただ,消耗戦になり,うっかり第1面を唱えることができれば,勝利は目前だ。そういう意味で,後半のマナフラッドを抑制しつつ,序盤の安定したマナ供給源となるこのカードは悪くないと感じた。

結論

ゼンディカーの夜明けの白の注目カードをレビューした。

ここ何年かに渡る白ウィニー冬の時代に終わりを告げるほどの,強力な白のカードが収録された,白使いとして大注目のカードセットだった。ゼンディカーは白の強い次元であることを再認識できた。

MTG休止中であるものの,カードリストを眺めていてわくわくした。トップ3に挙げた以下のカードは4枚揃えたいと思う。

  1. 《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》
  2. 《光輝王の野心家/Luminarch Aspirant》
  3. 《エメリアの呼び声/Emeria’s Call》 – 《砕け散ったスカイクレイブ、エメリア/Emeria, Shattered Skyclave》

これだけ白の強力カードが収録されたのと,こちらの状況も大きく変わったので,年明けにMTG復帰してもよいと思った。

様子を見ながら,カードの収集を進めたい。

コメント

  1. […] 先日投稿したゼンディカーの夜明けの評価でも高く評価していたカードなだけに,購入できてよかった。ただ,英語版と日本語版を混ぜて購入したかったので,日本語版しか購入できな […]

  2. […] ゼンディカーの夜明けの評価で記載した通り,このセットの白のトップ3に入るカードだ。 […]

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