概要
2021-02-05 Fri発売のカードセットの「カルドハイム」の全カードリストが公開されたのでレビューする。
カルドハイムは北欧神話系のカルドハイムの次元での物語で,多相・氷雪・英雄譚・予顕・誇示・両面の多数のメカニズムが登場している。
新しく登場した予顕はオンスロートで登場した変異に似たメカニズムとなっている。変異は3マナかかるため,エターナル構築では重く,エンジェル・ストンピィの《賛美されし天使/Exalted Angel》くらいでしか使われていない。
予顕は2マナと軽いため,エターナル構築でも可能性があるかもしれない。
エターナル構築 (レガシー,ヴィンテージ) 視点で,特に注目している以下のカードをレビューする。
- 《ドゥームスカール/Doomskar》
- 《輝かしい司令官/Resplendent Marshal》
- 《栄光の探索/Search for Glory》
- 《ルーン鍛えの勇者/Runeforge Champion》
- 《持続のルーン/Rune of Sustenance》
- 《星界の番人/Shepherd of the Cosmos》
- 《シュタルンハイムの駿馬/Starnheim Courser》
- 《仮面の蛮人/Masked Vandal》
- 《領界渡り/Realmwalker》
- 《風化したルーン石/Weathered Runestone》
以下で1枚ずつレビューしていく。
評価
1. 《ドゥームスカール/Doomskar》
Doomskar / ドゥームスカール (3)(白)(白) ソーサリー すべてのクリーチャーを破壊する。 予顕(1)(白)(白)(あなたのターンの間、あなたは(2)を支払って、あなたの手札からこのカードを裏向きに追放してもよい。後のターンに、これの予顕コストでこれを唱えてもよい。)
初の3マナの《神の怒り/Wrath of God》となる。《神の怒り/Wrath of God》系の全体クリーチャー除去は4マナ以上が相場になっている。例外的に《太陽の一掃/Sunscour》,《啓示の刻/Hour of Revelation》などがあるが,条件がなかなか厳しかった。
3マナであれば,ぎりぎり2ターン目の《実物提示教育/Show and Tell》経由の《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》などにも間に合う。
白の全体除去を1ターン早くできる,画期的なカードだと感じた。
2. 《輝かしい司令官/Resplendent Marshal》
Resplendent Marshal / 輝かしい司令官 (1)(白)(白) クリーチャー — 天使(Angel) 戦士(Warrior) 飛行 輝かしい司令官が戦場に出たか死亡したとき、あなたはあなたの墓地から他のクリーチャー・カード1枚を追放してもよい。そうしたとき、輝かしい司令官以外の、あなたがコントロールしていてその追放したカードと共通のクリーチャー・タイプを持つ各クリーチャーの上にそれぞれ+1/+1カウンター1個を置く。 3/3
3マナ3/3飛行に加え,ETBとPIGで条件付きで+1/+1カウンターをばら撒ける。《ベナリアの軍司令/Benalish Marshal》に非常に似ているカードだ。
3マナ3/3飛行は戦略として申し分ない。+1/+1カウンターをばらまくには,墓地にクリーチャーが必要であり,加えて追放したクリーチャータイプと同じという条件がある。
少々条件が厳しいが,うまくはまれば強い。ただ,天使は小粒クリーチャーが少なく感じるので,狙うなら戦士の部族だろうか。
マナ拘束は厳しいが,強化するなら確実に+1/+1が見込める,《ベナリアの軍司令/Benalish Marshal》のほうが使いやすいかもしれない。
3. 《栄光の探索/Search for Glory》
Search for Glory / 栄光の探索 (2)(白) 氷雪ソーサリー あなたのライブラリーから氷雪パーマネント・カード1枚か伝説のカード1枚か英雄譚(Saga)カード1枚を探し、公開し、あなたの手札に加える。その後、あなたのライブラリーを切り直す。あなたは、この呪文を唱えるために支払われた(氷)1点につき1点のライフを得る。((氷)は氷雪である発生源からのマナを意味する。)
氷雪パーマネント・伝説・英雄譚カードをサーチできる。プレインズウォーカーは伝説のため,《ゲートウォッチ招致/Call the Gatewatch》の上位互換となる。
《暗黒の深部/Dark Depths》をサーチできるので,白使いとしては,デプス・ホワイトで検討の余地がある。
しかし,3マナソーサリーのサーチは,ゲームを決めるアクションを起こす3ターン目を何もせず過ごすも同然であり,なかなか厳しい。
白で《暗黒の深部/Dark Depths》のサーチ手段が,《雨ざらしの旅人/Weathered Wayfarer》と《探検の地図/Expedition Map》しかないのでありがたいのだが,1-2ターン目にサーチできる《悟りの教示者/Enlightened Tutor》のほうが強いかもしれない。
現在のデプス・ホワイトでは,スロットが足りないため,ペインターコンボと併用している。デプス1本にする場合,このカードの採用が必要に感じる。
4. 《ルーン鍛えの勇者/Runeforge Champion》
Runeforge Champion / ルーン鍛えの勇者 (2)(白) クリーチャー — ドワーフ(Dwarf) 戦士(Warrior) ルーン鍛えの勇者が戦場に出たとき、あなたは「あなたのライブラリーや墓地からルーン(Rune)・カード1枚を探し、公開し、あなたの手札に加える。」を選んでもよい。これによりあなたがあなたのライブラリーからカードを探したなら、あなたのライブラリーを切り直す。 あなたは、あなたが唱えるルーン呪文のマナ・コストを支払うのではなく、(1)を支払ってもよい。 2/3
《護衛募集員/Recruiter of the Guard》,《ヘリオッドの巡礼者/Heliod’s Pilgrim》系のサーチカードとなる。
キャスト時点でアドバンテージを取れるのは悪くない。
ただ,ルーン・カードはカルドハイムに登場した5枚しかなく,現時点ではあまり強力な使い方ができない。オーラは呪禁オーラくらいしか,大会での実績がなく,不遇なメカニズムとなっている。
今後のルーン・カードの登場に期待したい。
5. 《持続のルーン/Rune of Sustenance》
Rune of Sustenance / 持続のルーン (1)(白) エンチャント — オーラ(Aura) ルーン(Rune) エンチャント(パーマネント) 持続のルーンが戦場に出たとき、カード1枚を引く。 エンチャントしているパーマネントがクリーチャーであるかぎり、それは絆魂を持つ。 エンチャントしているパーマネントが装備品(Equipment)であるかぎり、それは「装備しているクリーチャーは絆魂を持つ。」を持つ。
先ほど言及した白のルーン・カードとなっている。キャントリップ持ちの《絆魂/Lifelink》となっている。
エンチャント先がパーマネントになっているのが,非常に重要なポイントとなる。従来,キャントリップ持ちのオーラはクリーチャーが必要であり,土地にエンチャントできるこのカードは画期的だ。
今までは《前兆の壁/Wall of Omens》が2マナで最安コストだった。
白使いとしては,パララクス・オパールの無限ドローエンジンとして採用を検討できる。
ドローエンジンをエンチャントに統一できれば,エンチャントのマナコスト軽減カード (《星原の神秘家/Starfield Mystic》,《シュタルンハイムの駿馬/Starnheim Courser》) をフルに使うことができるからだ。
6. 《星界の番人/Shepherd of the Cosmos》
Shepherd of the Cosmos / 星界の番人 (4)(白)(白) クリーチャー — 天使(Angel) 戦士(Warrior) 飛行 星界の番人が戦場に出たとき、あなたの墓地から点数で見たマナ・コストが2以下のパーマネント・カード1枚を対象とする。それを戦場に戻す。 予顕(3)(白)(あなたのターンの間、あなたは(2)を支払って、あなたの手札からこのカードを裏向きに追放してもよい。後のターンに、これの予顕コストでこれを唱えてもよい。) 3/3
ETBで2マナ以下のパーマネントをリアニメイトできる。
《目覚ましヒバリ/Reveillark》,《夕暮れヒバリ/Vesperlark》に似たカードだ。
決定的に違うのは,クリーチャーではなく,パーマネントなところだ。フェッチランドをリアニメイトできるので,無駄になりにくくなった。
他にも,エンチャントとアーティファクトも蘇生できるので,何かのコンボを形成できる可能性を感じる。
7. 《シュタルンハイムの駿馬/Starnheim Courser》
Starnheim Courser / シュタルンハイムの駿馬 (2)(白) クリーチャー — ペガサス(Pegasus) 飛行 あなたがアーティファクトやエンチャントである呪文を唱えるためのコストは(1)少なくなる。 2/2
先ほど言及したエンチャントのマナコストを軽減できる稀少なカードだ。
オーラのコスト軽減カードはそれなりにあるのだが,実はエンチャントになると,《星原の神秘家/Starfield Mystic》とこのカードのたった2枚しかない。
古くはkohさんが考案したパララクス・オパールだが,今組み直すなら,これら2枚を採用することで,コンボ成立速度を向上できる可能性を感じる。
白はマナ加速が苦手な色であるため,そういう意味で貴重なカードに感じた。
また,アーティファクトのコスト軽減も白としては珍しい。
8. 《仮面の蛮人/Masked Vandal》
Masked Vandal / 仮面の蛮人 (1)(緑) クリーチャー — 多相の戦士(Shapeshifter) 多相(このカードはすべてのクリーチャー・タイプである。) 仮面の蛮人が戦場に出たとき、対戦相手がコントロールしている、アーティファクト1つかエンチャント1つを対象とする。あなたはあなたの墓地からクリーチャー・カード1枚を追放してもよい。そうしたなら、そのパーマネントを追放する。 1/3
個人的にカルドハイムで一番の注目カードがこのカードだ。
2マナ1/3でETBで墓地のクリーチャーを追放することで,ᶡ《存在の破棄/Revoke Existence》を打てる。
墓地にクリーチャーが必要という条件があるものの,2マナの多相のおかげで,リベリオンで1マナの《レイモス教の兵長/Ramosian Sergeant》を含む全リクルーターからサーチできる。使う場面は少ないとはいえ,1枚あればほぼ常にサーチ可能というのは大きい。
ほぼ間違いなく今後のリベリオンの定番サイドボードとなるだろう。
9. 《領界渡り/Realmwalker》
Realmwalker / 領界渡り (2)(緑) クリーチャー — 多相の戦士(Shapeshifter) 多相(このカードはすべてのクリーチャー・タイプである。) 領界渡りが戦場に出るに際し、クリーチャー・タイプ1つを選ぶ。 あなたはいつでもあなたのライブラリーの一番上のカードを見てもよい。 あなたはあなたのライブラリーの一番上からその選ばれたタイプのクリーチャー呪文を唱えてもよい。 2/3
選んだクリーチャータイプ限定の《未来予知/Future Sight》を内蔵するクリーチャーだ。多相を持つため,部族デッキでお手軽なアドバンテージエンジンとなるだろう。
白使いとしては,リベリオンでサーチ可能ではあるが,元々リクルーターでサーチできるので,このカードは不要かもしれない。
兵士など他の部族デッキで,《霊気の薬瓶/AEther Vial》などと併用してた大量展開に向いているかもしれない。
10. 《風化したルーン石/Weathered Runestone》
Weathered Runestone / 風化したルーン石 (2) アーティファクト 墓地やライブラリーにあり土地でないパーマネント・カードは戦場に出られない。 プレイヤーは、墓地やライブラリーから呪文を唱えられない。
《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》に非常に似た墓地・ライブラリーサーチの対策カードだ。
2行目の能力は同一で,違いは1行目の墓地とライブラリーからのプレイの範囲が,クリーチャーからパーマネントに広がったところだ。
エターナル構築で,ライブラリーから非クリーチャーパーマネントを直接プレイする代表的なものは,《アカデミーの学長/Academy Rector》と《修繕/Tinker》だろうか。
逆をいえば,それくらいで他はないように感じる。そのため,ほとんどのケースで,《墓掘りの檻/Grafdigger’s Cage》で事足りるだろう。
結論
白使い視点のカルドハイムの注目カードを評価した。多相・氷雪と多くのデッキに影響のあるメカニズムが登場した。
直近のゼンディカーの夜明けは純粋な白ウィニー使いとして影響の大きなセットであり,ぱっと見た感じでは地味な印象を持った。
しかし,よく吟味すると,白使いとしては,デプス・ホワイト,リベリオン,パララクス・オパールと地味に影響があった。
ひとまず以下のカードは購入を検討したい。
- 《栄光の探索/Search for Glory》
- 《持続のルーン/Rune of Sustenance》
- 《仮面の蛮人/Masked Vandal》
新しいカードの登場で,昔のデッキに影響があるのがエターナル構築の面白いところで,リベリオンとパララクス・オパールに影響があるのは予想外だった。
今後も新カードの登場と,それらのカードの活躍を楽しみにしたい。
コメント
[…] 先日カルドハイムのレビューでも取り上げたリベリオンを強化するカードだ。 […]
[…] カルドハイムで収録された3マナソーサリーだ。このカードは注目カードとしてカルドハイムのレビューでも取り上げている。 […]